板金というと、自動車板金や精密機械の板金を思い浮かべる方も多いと思いますが、建築板金という分野があります。古くは錺(飾・かざり)職、鍛冶屋と呼ばれていた職種ですが、ブリキ屋という呼び方は、聞き覚えがあるでしょう。
比較的薄い金属鋼板などを切断したり、折ったり、張り合わせたり、変形させたり、個別に現場合わせで加工して、屋根・外壁・雨樋をはじめ厨房用金物・ダクト・ベランダの笠木・波風まき等を製造し取り付ける工事までを行います。そこには長い修行期間を経験した確かな”こしらえる”技術が必要とされ、同時に建物と調和した美しい外観を表現するセンスも求められるのです。近年では、卓越した技術者は減少し非常に貴重な存在といえます。
建築板金は、一般住宅から大型店舗・学校・公共施設・神社仏閣まで幅広い建築物に利用されています。加工性に優れた材質ですので、曲線や細かな細工を含むさまざまなデザインに応用できること、耐久性、耐食性に優れ軽いことから、長く利用する建築物に適していることなどがその理由でしょう。
使用材料としてはファインスチール(カラー板金、ガルバリウム鋼板)やアルミの合金、ステンレス鋼版、銅板、チタン鋼板などがあります。最近では酸性雨などの腐食に対応するために、ファインスチールにフッ素塗料を焼付け塗装した製品が普及してきました。
小見川少年自然の家 板金/sus一文字葺) |
長生村老人福祉センター (金属/ステンレスシーム溶接工法) |
豊田福祉センター (金属・竪平葺) |
アトリエ・ド・モバラ (金属/外壁シソバンド) |